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ポスト・コロナを創造する -卒業生の皆さんへ-

お知らせ |2021年03月12日

 本日ここに学位記授与式を迎えられました法学部、経営学部、保健医療学部、歯学部学生の皆さん、法学研究科、経営学研究科、歯学研究科修了の大学院生の皆さん、修了証書授与式を迎えられた留学生別科日本語研修課程の皆さん、また卒業証書授与式を迎えられた歯科衛生士専門学校の皆さんに、朝日大学の教職員を代表して心からお祝いを申し上げます。また、お子様方をこれまで物心両面で支えてこられたご両親様をはじめ、ご家族、またご関係の皆様に対して、心よりお祝いの言葉を申し上げますとともに、深甚なる敬意を表したいと存じます。
新型コロナウイルス感染症対策の観点から、式典で学長告示をお伝えすることが出来ませんでしたので、このような形で皆さんにメッセージをお届けいたします。

 ご承知のように、この一年間はまさに新型コロナウイルス感染症との闘いとなりました。年度初めよりリモートによる授業を強いられ、ゼミ指導や就職支援、また部活動等も大幅に制限され、皆さんにとりまして経験したことのない厳しい時間になったことと思います。人と人とが対面で触れ合い、語り合うことがどれほど重要なコミュニケーション・ツールであったかと、私も再認識させられました。

 そんな中でも多くの学生が自分の夢に向かって学びを続けてくれました。朝日大学法学部・経営学部での学修を通じて、例年と比して多くの方が公務員への道へと進みました。経営学部では今年も、難関国家資格の一つである公認会計士試験(論述式)に多くの合格者を輩出し、まさに学びの成果を見える化してくれました。保健医療学部健康スポーツ科学科からは、最初の卒業生を送り出すこととなりましたが、大学として念願であった県立高等学校の体育教員第一号が誕生しました。これら3学部においては、このコロナ禍でも例年通りの高い就職率を達成しております。

 歯学部、保健医療学部看護学科、歯科衛生士専門学校では、新型コロナウイルス感染症の拡大により、医療系の最終学年での大切な学び、とくに患者さんを通じて理解を深める臨床実習、臨地実習が中止され、皆さんは将来の進路も含めて大変悩まれたと思います。私ども、JR岐阜駅前の朝日大学病院では昨年4月初旬よりコロナ陽性患者を受け入れ、ピーク時には二十数名の感染患者の入院治療にあたり、県内でもトップクラスの治療成績を残してきました。われわれ医療者は、高い倫理感と矜持を保って治療の最前線に立っています。また、生涯を通じて最新の知識と技術を体得することを求められています。どうかご自身の健康に留意され、自立した医療人として、病める方々のために努力を続けて欲しいと思います。

 本学の卒業式は毎年3月12日に開催をしてまいりました。この時期を迎えると、日本人としてどうしても東日本大震災のことを思い出さずにはいられません。10年前の卒業式の前日に襲った大地震は、その後に巨大津波、そして福島第一原発事故と、未曾有の災禍を引き起こしました。

 去る3月10日付のNHKの報道によりますと、震災から10年を経て、これまで確認された死者・行方不明者に震災関連死を加えると2万2200人にのぼり、未だ各地域において行方不明者の捜索が継続されています。生きた証を待ち続ける家族の思いに、胸が痛みます。

 千年に一度と言われる震災が実際にやってくる現実、安心・安全と言われた原発が眼の前で崩れ落ち、十年が経った今もなお帰宅困難な故郷があり、廃炉までの道程にはさまざまな困難が現存していること、「絶対はない」ことを、私たちは学びました。

 昨今の報道でも、特に津波被害が大きかった三陸地方や、原発事故後も避難を強いられている福島県双葉町や大熊町では、10年が経っても「元の暮らし」が戻っておりません。震災後、私たちは声をあげて「復旧・復興」を目指して社会インフラを再整備してきましたが、人のつながりやコミュニティは戻らず、そこに人口減少と地方市町村の過疎化の進行が拍車をかけています。これらのゴールが、元に戻すことではなく、新しい営みを創ることにあることをもっと早くに知るべきでした。

 そして今、私たちはwithコロナの生活を強いられ、新しい生活様式を学びました。満員電車やバスに揺られ、渋滞に巻き込まれながら定時に出勤することが「あたり前の生活」だと思ってきましたが、在宅、リモート、分散という発想は、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)や、新たな働き手の確保という視点からも取り入れるべきでしょう。今後もコロナウイルスの変異、あるいは新たな新興感染症の勃興に注視せねばならないとすれば、afterコロナに向けた新しい生活、新しい価値観をそれぞれが創造していかねばなりません。Beforeコロナ、すなわち「元の生活」には戻れない、いや戻す必要はないのかもしれません。

 朝日大学の創立者・宮田慶三郎先生は「私たちは常に未来から挑戦を受けている」という言葉を遺されました。私は学長として、初年次教育「建学の精神と社会生活」という講義・フィールドワーク等を通じて、身近な社会・経済問題を提示して、日本人特有の「思考停止に陥らない」「自分の頭で考え、自分の意見を持つ」ことをお伝えしてきました。

 先代の宮田侑理事長は、学生諸君に向けてこう発信されました。

自分自身をモデルチェンジし続け、セールスポイントを持とう。力の強いものが必ず生き残るのでしょうか? それは違うと思います。常に変化に対応する力を持つことが生き残る条件であることを歴史が証明しています。あの巨大なマンモスも姿を消しました。

そう。私たちは常に未来から挑戦を受けているのです。

 今日、世界が抱える諸問題を解決するためには人間的知性が必要です。どのような専門分野へ進んだとしても、国際的な生涯学習と研究活動を続けてほしい、朝日大学はそう願っています。

 風雪に耐えた大学のサクラもつぼみを作りました。サクラ満開のキャンパス、雄大な長良川、天下統一のシンボル岐阜城、そして西にそびえる伊吹山の眺めを目に焼き付けて、新たなるフィールドでの皆さんの活躍を祈念し、学長からの祝辞といたします。

 おめでとう!

2021年3月12日
朝日大学 学 長
大友 克之